2024年4月から、日本版ライドシェアが限定的に解禁されました。
国土交通省がライドシェアの運行を認めたのは、東京都(23区、武蔵野市、三鷹市)、神奈川県(横浜市、川崎市など4市)、愛知県(名古屋市など12市3郡)、京都府(京都市など8市4郡)です。5月以降には北海道や大阪府、兵庫県など8道府県の一部でも導入予定です。
この記事の目次
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日本版ライドシェア |
海外版ライドシェア |
運営形態 |
タクシー事業者と連携した形態 |
個人事業主のドライバーが、自家用車で営業 |
ドライバー |
普通自動車運転免許証のみで営業可 |
運転免許証のみで営業可能 |
報酬は一般のタクシー運転手と同程 |
報酬は利用距離や時間に基づいて算出される |
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勤務時間や勤務場所は、国土交通省が定める日本版ライドシェアに準ずる |
勤務時間や勤務場所は自由に設定可能 |
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車両 |
タクシー向けの車両規定を満たす必要がある |
車両規定は比較的緩やか |
サービスによっては、車両の外観に社名やロゴを貼付する必要がある |
車両の外観に社名やロゴを貼付する必要はない |
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料金 |
通常のタクシー料金と同水準 |
需要と供給に基づいて動的に設定される |
「日本版ライドシェア」のサービスについて、国土交通省は「タクシーの運行を補完するもの」として位置づけています。
そのため、現状の「日本版ライドシェア」は、タクシーが不足する地域や曜日、時間帯にサービスが限定されています。
タクシーがどのくらい不足しているかは、配車アプリを使った利用者からの依頼に対し、どのくらい配車できたかを示す「マッチング率」を基準としています。
国土交通省では、配車アプリ事業者大手4社(DiDi、GO、S. RIDE、Uber)からデータを提供され、利用者からの配車依頼件数と配車依頼に対するタクシー運転者の承諾件数の割合を算出しています。
例えば10人の配車依頼に対して8台が配車できた場合、「マッチング率」は80%となります。このマッチング率が90%未満になるとタクシーの台数が不足していると判断されます。
▼参考:国土交通大臣提出資料
▼利用者のメリデメ
メリット |
デメリット |
交通手段の選択肢が増える |
利用できる地域が限られている |
料金が安くなる可能性がある |
予約が必要な場合がある |
気軽に利用できる |
車の数が少ない場合がある |
現金以外にも支払い方法が選べる |
料金体系が複雑な場合がある |
▼ドライバーのメリデメ
メリット |
デメリット |
自由に稼働できる |
収入が不安定 |
空いた時間に稼げる |
長時間労働になりやすい |
高収入の可能性がある |
トラブルのリスクがある |
社会貢献できる |
責任が重い |
日本版ライドシェアが解禁されてから4月21日現在までで、ライドシェアの利用率としてはまだ公表されていませんが、国土交通省は、ライドシェアの利用状況を調査するため、「自家用車活用事業(ライドシェア)」利用実態調査を実施しています。
調査内容は、利用者数、利用目的、利用時間帯、利用料金などです。調査結果は、今後公表される予定です。
その他にも、民間企業による調査が行われていて、MMD研究所の調査によると、ライドシェアの認知度は54.9%、利用経験は4.7%にとどまっています。
また、アルバイト仲介アプリ「タイミー」は、アプリ利用者1000人を対象にアンケート調査を実施しています。
それによると、ライドシェアの運転手になりたいかの質問では「なりたい」「どちらかといえばなりたい」と回答したのは43%で、働く上で重要な点は「働く時間や場所を自由に決められること」との答えが89%という結果を公表しました。
▼参考:MMD研究所
▼参考:内閣府ホームページ「ライドシェアドライバーに関する調査結果報告」
政府は、様々な方面から多角的な観点で検証し、そのデータを元にタクシー会社以外の参入を検討しています。
タクシー会社以外の参入を認めるかなど、ライドシェア事業の新たな法制度について6月に向けて議論を進めているとのことです。
タクシー会社以外の参入が認められれば、配車サービスの他にも関連したサービスなどがどんどんとリリースされて、市場が活性化されていくことが期待できます。
今後、「日本版ライドシェア」は独自の進化を遂げるのでしょうか。ますます目が離せません。