ライドシェアとは、個人が所有する車を利用して、他の人を目的地まで乗せるサービスのことです。
日本では法整備が遅れていて、2023年秋頃、政府がライドシェア解禁を検討しているとの情報が発表されました。
解禁されれば、Uber Eatsの配達員のように、個人がアルバイト的に送迎サービスを行うことができるので、インバウンド需要にも対応できるようになるのでは?という期待がありました。
ライドシェアの一部限定解禁はタクシー業界に配慮し過ぎた内容?!
しかし、タクシー業界からものすごい反発の声が上がったのは言うまでもありません。
それもそのはずです。一般ドライバーが有償で顧客を運ぶことができるようになると、タクシードライバーの仕事が奪われるという懸念が出てきて、市場の奪い合いになるかもしれないと思うからです。
そのようなタクシー業界の反発意見を考慮して、慎重に議論が進められ、ついに2024年4月から、ライドシェアが「一部限定」で解禁されました。
しかし、この「一部限定」というのが、あまりにもタクシー業界に配慮し過ぎた内容のため、個人でドライバーをやろうと考えていた人にとっては肩透かしをくらった感が否めません。
では、タクシー業界に配慮し過ぎた内容とはどういうことでしょうか?
それは、タクシー会社主導のライドシェアということで、タクシー会社管理のもとでタクシーを優先配車するという本末転倒とも思えるシステムのことです。また、ドライバーもタクシー会社の規定に沿った講習を受けさせられ、タクシー会社に管理されるので、「副業やWワークもOK」と謳っておきながら、実態は非正規でタクシー会社に雇用されるようなものです。
ライドシェアが解禁されるに至った背景と国の取り組み
そもそも、日本でライドシェアが解禁されるに至った背景には、日本のタクシー不足が原因の1つにありました。
コロナ禍で、タクシードライバーが減少し、廃業したタクシー会社も多くありましたが、コロナも落ち着いてきて、インバウンドが戻り始めた現状、日本のタクシー不足は深刻化しています。
ですので、ライドシェアを解禁し、一般の人でも有償で顧客を運ぶことができるようにすれば、タクシー不足の解消に繋がるという目的での解禁だったはずです。
もう1つは、違法な白タク行為の撲滅も目的の1つにありました。
今、国際空港周辺では、インバウンドの観光客増加に伴い、違法な白タク行為が問題となっています。
これらの違法行為を減らすべく、ライドシェアを導入することによって、市場が正常化されていくことが求められています。
ただし、ライドシェアが解禁されたからと言って、違法な白タク行為がすぐに無くなるわけではなく、国や自治体は適切な監視と取り締まりが求められます。
現在、国の取り組みの一例としては、以下のようなものがあります。
-
地域の実証実験:
ライドシェア解禁前から、すでに一部地域では、地域住民や企業などと連携した実証実験が行われています。
これにより、問題点や改善点を洗い出し、法整備に反映させることが目的です。 -
法規制の整備:
一部限定でライドシェアサービスが解禁されましたが、まだまだ適切な法規制が整備される必要があります。
これには、車両や運転者に対する安全基準や保険制度なども含まれます。 -
運営会社との協議:
ライドシェアサービスを提供する企業と、国や自治体が協議を重ねることで、適切なルール作りを進めています。
ライドシェア解禁に伴うタクシー不足の解消とインバウンドへの影響
以上のことから、ライドシェアが解禁されたことで、インバウンド需要の拡大や違法な白タク行為の減少が見込まれます。
ただし、上述した通り、現状ではまだ「一部限定」の解禁であって、タクシー業界に配慮した内容なので、これでタクシー不足の解消や違法な白タク行為の減少に繋がるかは、正直に言って疑問です。
ですが、ライドシェア全面解禁への足がかりになったことは確かなので、今後、国や自治体が適切なルール作りを進め、安全で利便性の高いライドシェアサービスが提供されることが期待されます。
ライドシェアが解禁されてまだ1週間なので、まだまだ見通しが立たない部分も多いですが、インバウンドへの影響など、しばらく今後の動向をウォッチしていきたいと思います。