2024年4月、ライドシェアがタクシー会社の運行管理の下で一部解禁されました。タクシー事業の一環として限定的な形でのサービス提供となり、ドライバーはタクシー会社と雇用契約または業務委託契約を結びます。当面は、都市部や観光地限定でタクシーが不足している地域や期間、時間帯に限ります。
この記事の目次
ライドシェアの料金体系は?
日本でのライドシェアの料金は、従来のタクシーと同じような料金体系「初乗運賃+加算運賃」になることが予想されますが、需要の高い地域ではさらに以下の要素も加えられる可能性があります。
曜日:週末などの混雑する曜日は料金が高くなる
時間帯:通勤時間帯などの混雑する時間帯の料金が高くなる
利用者数:ライドシェアの利用者が多く、空車が少ない場合、料金が高くなる
一般的に需要の高い時間帯は料金が高く、反対に乗車が少ない時間は料金が安くなる料金体系になることが予想されます。
UberEatsと似ていますね。例えば、雨や雪が降っている時間は必然的に需要が増すので料金が高くなるでしょう。このような変動料金のことを「サージプライシング」と言います。
利用者側も時間や天気などの状況を踏まえた上で、タクシーとの使い分けを考えたほうが良いでしょうね。
最新の各社の運行地域や時間などの情報は、こちらにまとめております。
結局、タクシーと比べて安くなるの?
ライドシェアの料金がタクシーよりも安くなることが望まれます。ライドシェアが自家用車を有効活用できるため、タクシーよりも運行コストを抑えられるでしょうし、新規ドライバーの参入を促進するためにもタクシーよりも安く利用できることが必要になるかと思います。
しかし、国土交通省によると一般ドライバーによる送迎サービスの料金をタクシー運賃と同額程度、もしくは8割程度にすることを検討しているそうです。しかし、これは一律ではなく運行会社、自治体、地域によって各々定められることが予想されます。
2024年4月のライドシェア解禁に伴い開始されるGOライドシェアの場合は、残念ながらどうやらタクシーと同額になるようです。首都圏の場合は、そもそもタクシードライバーが不足している状況でも海外からの旅客もバンバン来ていることから単純にタクシー自体の需要が高いため、自家用車を使用したとしても料金を下げる必要がないからでしょう。
では、地方ではどうなるのでしょうか?
京都府京丹後市の「ささえ合い交通」
京都府の京丹後市で2016年にスタートしたNPO法人運行の「ささえ合い交通」というUberのプラットフォームを利用したライドシェアサービスを例にあげると、最初の1.5㎞までの初乗運賃は480円、以降は1km走る毎に120円の加算運賃となっており、下記の表のようにタクシーより割安な料金設定となっています。
初乗運賃 | 加算運賃 | |
タクシー(2022年11月~) | 500円/1.096km | 100円/255m |
ライドシェア「ささえ合い交通」 | 480円/1.5km | 120円/1km |
特に加算運賃については「ささえ合い交通」はタクシーの約4分の1となっており、走行距離が長くなるほど顕著に安くなることがわかります。
公式ホームページより引用
項目 詳細 運行主体 NPO法人 気張る!ふるさと丹後町 運行区域 乗車は丹後町のみ、降車は京丹後市全体 運賃 最初の1.5kmまで480円、以遠は120円/km加算 支払方法 当初はクレジットカードのみ、2016年12月21日から現金も可能 運行時間 午前8時~午後8時(年中無休) 配車方法 スマートフォンのUberアプリで即時配車、電話も可。2016年9月18日からNPO等代理人による配車も可 ドライバー 地元住民16名(ボランティア) 車両 ドライバーの自家用車 登録標示 各車両の側面に登録標識を掲示 利用者 丹後町住民、観光客等来訪者
タクシーとささえ合い交通の料金を比較する
では、仮に10キロメートル乗車した場合の運賃を計算して比較してみましょう。
タクシーの場合
- 初乗運賃: 500円(最初の1.096km)
- 残りの距離: 10km – 1.096km = 8.904km
- 加算運賃: 8.904kmを255mごとに分割 → 8.904km ÷ 0.255km = 約34.92回
- 1回の加算運賃は100円なので、約34.92回 x 100円 = 3,492円
合計運賃 = 初乗運賃500円 + 加算運賃3,492円 = 3,992円
ライドシェア「ささえ合い交通」の場合
- 初乗運賃: 480円(最初の1.5km)
- 残りの距離: 10km – 1.5km = 8.5km
- 加算運賃: 8.5kmを1kmごとに分割 → 8.5km ÷ 1km = 8.5回
- 1回の加算運賃は120円なので、8.5回 x 120円 = 1,020円
合計運賃 = 初乗運賃480円 + 加算運賃1,020円 = 1,500円
よって、10キロメートル乗車した場合の運賃は、タクシーで約3,990円、ライドシェアで1,500円と半額以下になる計算です。(※概算であり、実際の運賃は異なる場合があります。)
ささえ合い交通は、交通空白地とも呼ばれる元から公共交通機関のない地域の課題を緩和するために作られたサービスで、地域住民の利用を想定し、また高齢者の運転免許返納を促す役割を担う目的もありますので、料金設定は安くなっているのでしょうね。
なぜこんなに料金差が大きいのか
実は、日本のライドシェア解禁ではタクシー会社が運行主体となった自家用車活用事業(通称、日本型ライドシェア)と自家用有償旅客運送(通称、自治体ライドシェア)という2つのタイプが存在します。
今回はあえてこの2つの料金を比較したのですが、この2つのライドシェアはそもそもの目的が違っています。すごく簡単に言えば、前者は営利目的、後者は非営利目的(交通空白地の問題を緩和)のもとに提供されるライドシェアサービスとなります。
その他、地方のライドシェアの導入状況はこちらにまとめております。
まとめ
日本におけるライドシェアの料金は、地域や規制の変更、市場の動向や需要によって異なることが予想されます。2024年4月に開始されるライドシェアはタクシー会社運行管理のもと、GOアプリなどのタクシーと同じ配車システムを利用し開始されます。自家用車活用事業の料金はタクシーと同額ですので、利用者からすると今のところ大きなメリットがあると言えず、タクシー不足が緩和されるはずなので以前より待たずに乗車できることくらいでしょうか。
また、地方ではすでに自治体やNPO法人などにより自家用有償旅客運送型の独自サービスが開始されています。サービスによってはタクシーよりも格安で利用ができます。
ライドシェアを導入する目的は、ドライバー不足の解消、観光客誘致、公共や民間の交通機関が減っていて交通弱者が発生している問題の解消など様々なものです。
なぜその地域でライドシェアが導入されたのか?
ライドシェアの導入目的にもよって料金体系は大きく異なっていくでしょう。
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