今年4月に日本でもライドシェアが限定的にですが解禁されまして、それから一ヵ月と少し経ちました。テレビやネットニュースで取り上げられるのは、タクシー会社が運行主体となった自家用車活用事業(通称、日本型ライドシェア)ばかりなのですが、
実は日本のライドシェアにはもう一つ、自家用有償旅客運送(通称、自治体ライドシェア)というタイプがあります。
詳しくは後述しますが、こちらは主に過疎化や高齢化によってバスや電車などの公共交通機関が撤退してしまい、住民の移動が困難になり、いわゆる交通空白地と認められた地域への移動手段の提供を目的としておこなわれるものです。
すごく簡単に言えば、前者は営利目的、後者は非営利目的のもとに実施されるライドシェアサービスです。今回は、自家用有償旅客運送が何かを解説した記事になります。
自家用有償旅客運送とは
自家用有償旅客運送とは、個人または法人が自家用車を使用して、料金を受け取って旅客を運送することを指します。
通常のタクシーやバスとは異なり、特定の条件を満たさないと許可されない運送形態です。その地域が交通空白地として国土交通省に申請して認められていることを前提として、高齢者や障害者など移動が困難な人々が利用することを目的としたサービスでなければいけません。
日本では、道路運送法に基づいてサービスが規制されていますので許可を得るためには、運転手や車両に対する安全基準を満たし、適切な運賃設定を行う必要があります。また、運営団体は非営利組織であることが条件となっています。
営利目的ではなく、交通空白地や交通弱者などの問題に対して助力をする目的でないと認められないということになります。
各都道府県のホームぺージでは、交通空白地として認可されている地域情報を公開していますので、気になる方は参照してみてください。
自家用有償旅客運送の許諾を得るための主な条件
自家用有償旅客運送の許諾を得るための条件は、以下のように定められています。
対象になる団体 |
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運送の種類 |
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目的 |
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このように一般法人などの事業会社では申請もできないことが大きなポイントとなっています。
参考情報:国土交通省 自家用有償旅客運送について
自家用有償旅客運送はなぜ必要か?
こちらの記事でも書いていますが、公共交通のない地域が日本全国の25%にものぼります。
また、地方の公共交通機関のほとんどが赤字運営で次々に撤退している現状から、日本では今度も交通空白地が増えていくことは明白であり、地域住民の交通の足が途絶えてしまうことが社会問題と化しているのです。
タクシーを配車しようにも、場所によっては断られたり必要な時に来てもらえなかったりと不便が多いと聞きます。そのような地で自家用車がない人はどうなるのでしょうか?
近所や親兄弟を頼って乗せて貰うしか方法がないことは明白ですよね。病院や買い物に出かける毎に、頼るのは気が引けると思いますし、毎回何かしらの謝礼なども用意しないとならずヤキモキすることは容易に想像ができます。交通空白地とは正にこの事で、本当に車を必要としている人の元まで届いていないのが現状です。
自家用有償旅客運送が実施されている自治体
すでに多くの地域で自家用有償旅客運送のライドシェアサービスが開始されていまして、こちらに実施地域や情報をまとめています。
これから日本全国各地で同様のサービスが開始されていくと考えますが、交通空白地問題の緩和や地域振興の一環として、自家用有償旅客運送型のライドシェアが広まっていくと良いなと感じています。